『パピヨン』 1973年 アメリカ映画

 TOHOシネマズ系の映画館で「午前十時の映画祭」という催しが行われている。往年の名画をニュープリントして週替わりで50本上映するというもので、しかもたったの1,000円。今ではテレビのロードショー番組でも全く放映されなくなってしまった作品たちを、映画館の大スクリーンで再び見られるというのは、かつての映画ファンにとっては垂涎・感涙モノの企画。ラインナップに興味のある方は是非ネットで調べてもらいたいが、参考に自分が見たいと思っている作品の名前を挙げておくので(*)、それを見ればどんなラインナップなのか雰囲気は分かってもらえると思う。DVDを借りてきて家で見るのもいいけど、広い椅子でポップコーンでも食べながら大スクリーン&大音量で見るのもまた格別。

   *…『大脱走』『ゴッドファーザー』『ベン・ハー』『アラビアのロレンス』など

 前置きが長くなってしまったが、今回見てきたのは『パピヨン』。スティーブ・マックィーン主演で共演のダスティン・ホフマンが良い味を出している。古い映画なので、知らない人の為に念のためにストーリーを紹介しておこう。マックィーンが扮するのは、殺人という無実の罪で投獄されたパピヨンという男。胸に蝶(=フランス語で“パピヨン”)の刺青をしているのでそう呼ばれている。身に覚えのない汚名を着せられたパピヨンは、生きて帰るものが殆ど居ないという仏領ギアナにある刑務所からの脱獄に執念を燃やす。独房へ収監されたり何度も生死の境目をさまよう体験をしたのち、遂に数十年後、「悪魔の島」とよばれた最後の流刑地からの脱獄を果たすという話。驚くべきは実話をもとにした映画だということ。仏領ギアナは南米大陸の北東部に位置しており、20世紀半ばまで政治犯を中心とした囚人が数多く送られたらしい。(このあたりはWikiからの受け売り/笑)

 昔はこういう映画をテレビの「○○ロードショー」や「□□洋画劇場」で毎週のようにやっていたのだから、考えてみるとすごい事だ。今は夏休みになると『となりのトトロ』が毎年放映されてるけど、それと同じようにして小学生が『パピヨン』なんぞを見ていた訳だから、ませたガキ(いや、恵まれた子供時代)だったんだなあ。(笑) 
 今回は改めて大人の目で見直した訳だが、記憶違いではなくてやっぱり面白かった。マックィーン主演だからもちろんアクションやハラハラするシーンもあるが、基本的にはカタルシスが得られる映画じゃない。(昔はたしか「不当な抑圧からの自由」とか「生きることへの執念」とか、体制批判の文脈で語られていたような気がする。)また、物語と関係なく突然にシュールな夢のシーンが挿入される演出は、今見るとさすがに時代を感じさせるが、懐かしい感じがかえって新鮮に映る。
 ちょっと得した気分になれたのは、子供の時には意味が分からなかったシーンが理解できたこと。例えばパピヨンが助けられたインディオの村がある日、彼ひとり残して突然無人になってしまうシーンがあるが、おそらく集落を定期的に移動させているからだろう。他にも修道院のシスターがパピヨンを当局に密告するシーンだとか、当時は分からなかった「大人の事情」が分かって納得。

 ひとつだけちょっと嫌だったのは、一緒にスクリーンを見ていたのが、いかにも映画好きの中年オジサン/オバサンばかりだったこと。(笑) 人数は30~40人くらい居たけど、きっと自分もあの人達に馴染んで見えたんだろうなあ。(笑)
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