『火の起源の神話』 J・G・フレーザー 角川文庫

 『金枝篇』で有名なアームチェアー派の文化人類学者であるフレーザー(フレイザー)が、その碩学を余すところなく披露して、世界中の神話における「火の起源」を比較・分析した書。角川文庫版が絶版になってからしばらく入手できない時期があったが、最近ちくま学芸文庫に収録されたので入手しやすくなった。今回は前の角川版が安く入手できたのでそちらで読了。色々な世界中の地域の言い伝えを愉しむことが出来た。
 惜しむらくは、豊饒なイメージに溢れる神話の中身を「火の起源」という一面的な切り口に絞ることで、最初から自分がもっているひとつの結論(*)を導くための「手段」にしてしまっている点。(一例を挙げれば、火を人類にもたらしたとされるウサギやワタリガラスについて、その行動をトリックスターとして分析することもできる。)読んでいるうちに、せっかくの素材が何だかもったいない気がして少し残念だった。
 やはり構造人類学の洗礼を受けてしまったあとでは、ちょっと古いこの手の本は厳しいのかも? ちょっと寂しいね。(しかしあるとつい手を出してしまうんだよなあ。)

  *…「自然科学が未発達な原始社会においては、科学的な原理を説明するために物語の形式
    をとる」といった、進化論の考えを社会科学や人文科学の分野にそのまま適用しようと
    する考え。
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サラリーマンオヤジです。本から雑誌、はては新聞・電車の広告まで、活字と名がつけば何でも読む活字中毒です。息をするように本を読んで、会話するように文を書きたい。

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