『御手洗潔対シャーロック・ホームズ』 柄刀一 創元推理文庫

 世に「名探偵」と呼ばれるキャラは数多い。明智小五郎(by江戸川乱歩)、金田一耕助(by横溝正史)、キッドピストルズ(by山口雅也)、火村英生(by有栖川有栖)、円紫師匠(by北村薫)、モース警部(byデクスター)などなど、数え上げれば切りが無いほど。(と言いつつ、ここに挙げたのを見ればだいたい趣味が分かってしまうが…/笑)その中でも『占星術殺人事件』で鮮烈なデビューを飾った御手洗潔(みたらいきよし/by島田荘司)は、新本格ミステリにおける探偵キャラの代表格だろう。S・ホームズ(byドイル)は言わずもがな。

 本書は『3000年の密室』で本格推理小説の世界に登場した作家・柄刀一が、御手洗潔とホームズをネタにして書いた短篇集である。収録作は最初から順に「青の広間の御手洗」「シリウスの雫」「緋色の紛糾」「ボヘミアンの秋分」「巨人幻想」の5作。「青の広間…」と「シリウス…」は御手洗潔が主人公のパスティーシュ(文体模写)だが、これが上手い。島田荘司の作品に対する柄刀の敬愛の情が溢れていて、島田が書いたシリーズの正統な続編かと見まがうほど。トリビュートと言った方が正確かもしれない。
 続く「緋色の紛糾」「ボヘミアンの秋分」は雰囲気がうって変わって、ホームズファンなら爆笑もののパロディ作品。題名もホームズ第1作の「緋色の研究」と名作「ボヘミアの醜聞」のもじりになっている。最後の「巨人幻想」は、作中の時間でも100年のずれがある2人の名探偵がコラボレーションするという離れ業をおこなっていて、パロディでもなくパスティーシュでもなく何というか...、いわゆるミステリファンの「夢」とでも言えばいいのかな? そんな作品。
 元々、御手洗シリーズの設定自体がホームズシリーズから拝借した、エキセントリックな探偵と愚直な語り手のコンビが活躍するというスタイルなので、2人のキャラを共演させても非常に相性が良い。単なるキャラクター遊びではなくトリックもそれにふさわしい大胆かつ納得のいくもので、久々に大満足の1冊だった。
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