積極的な読書の愉しみ方

 2010年2月にブログを始めていつの間にか5年半が過ぎた。最初は読んだ本の感想を記録に残したいということだったが、これをきっかけにして色んな本の愉しみ方を知ることができ、読書の幅もさらに広げることができた。今回はそんな話をちょっとしてみたい。

 基本的に「本を読む」という行為自体は孤独なものだけれど、読んでいる本人の頭の中ではそうではない。例えば小説の登場人物たちに一喜一憂したり、あるいはノンフクションを読んでこれまで知らなかった話題に心躍らせたりと、結構賑やかにしているのだ。読み終わった後もああだこうだと反芻して余韻を味わったりと、結構忙しかったり。
 しかしどんなに面白かった本でも、時間がたてば細かな内容を忘れてしまうのは致し方ない。またあるタイプの小説では、注意深く読まないと作者が組み入れた仕掛けに気付かず、面白さが半減してしまったりということもある。そんなわけで、いつの頃からか本を読むときにはメモを取りながら読む習慣がついた。(人によっては気になるページに付箋を付ける方法をとっている方もいらっしゃるようだが、自分はやっていない。付箋だらけになりそうだから。/笑)
 家ならパソコンを開いてその都度打ち込みながら読むことが出来るが、外出先ではそうもいかない。そんな時は手帳に書き込んだり携帯電話に打ち込んだりして、後で書き写したりもしている。このブログの原稿も実はそうして書いたメモを基にして、まとめた文章がおおもとになっているのだ。
 この“メモとり読書”はかなり愉しさの幅を広げてくれたと思うが、それでも孤独な作業である事には変わりない。そこで次に来たのが、感想を他の人にも伝えたいという気持ちだった。ブログもそうだしツイッターを始めたのも結局は同じ理由。自分の書いた本の感想に共感するコメントが返ってきたり、疑問に対する回答をもらえる楽しさを一度覚えたら、これはもう止められない。(ツイッターの場合はさらに色々な情報を得られたり、もしくは作家・翻訳家の方々と親しくやりとり出来るといった利点まである。)これら“ネットを使った読書”との出会いは自分の中ではかなり画期的な出来事だったといえだろう。
 こうして始まった「積極的な読書」は、やがて次のステージである“読書関連のイベントへの参加”へと進むことになる。ネットで読書関係の人脈ができて驚いたのは、これまで存在すら知らなかったイベントが沢山あるということだった。作家や書評家の方をゲストにお呼びして開催されるシンポジウムやセミナーもあれば、本の朗読会(ジャンルは様々で中には自分の好きな「怪談」に特化したものまで)や“一箱古本市”といったアマチュア参加型のイベントまで、全国各地でひっきりなしに開催されているのだ。ふらふらとそんなイベントのひとつに遊びに行って即売の本を買ったり、もしくは帰り道に鶴舞の古本街をぶらついたりというのは、休日の過ごし方としてかなり好いものである。
 そうこうするうち、読書仲間から「翻訳ミステリー読書会」というイベントへのお誘いを受け、これが決定的だった。学生のころにサークル仲間で読書会を開いたことは何度かあったのだが、所詮は友人同士の雑談の域を超えるものではない。社会人になってからは仕事の忙しさにかまけていつの間にか自然消滅していた。
 しかしこの時に参加したミステリー読書会はまったく違っていた。初対面の人も含めて数十人もの人が集まり、上手な司会進行とシステマティックな運営によって初心者からマニアまで誰もが愉しめる、まさに「大人の読書会」とでもいうべきものだったのだ。好きな本について心ゆくまで語り合うというのがこれほど愉しいことだとは思わなかった。それ以来“読書会への参加”は自分の中で、休日の過ごし方のかなり上位に位置づけられることになった。
 そして読書会はその後さらに発展をとげた。「翻訳ミステリー読書会」の参加者によるスピンオフ読書会(岐阜、浜松など近郊で開催されている)や自分たちが立ち上げた「名古屋SF読書会」といった、参加者の間口の広い読書会から、5~6人という少人数で開催されるミニ読書会(*)まで色々なものが、今ではそれこそ毎月のように行われている。

*…こちらはアンナ・カヴァン『氷』やP・K・ディック『ヴァリス』など、かなりディープな
   課題図書をとりあげて有志で実施している。主催者もバラバラで、やりたい人が
   ツイッターで参加者を募るというかたち。

 このようにして培われた人脈を通じてまた新たな人たちとの出会いがあり、皆でもっと大勢の人に愉しんでもらえるようなイベントを作りたいと、今度は主催する側に回ったおかげで、最近ではかなり忙しい休日を送っている。(笑)
 ここ最近とくに思うことは、読書は自己完結する愉しみ方だけでなく周囲に広がっていくことで、その愉しさを幾重にも膨らませるということ。つまり「積極的な読書の愉しみ方」に気が付けたのは、5年前にこのブログを始めて一番良かった事かも知れない。ほんと、読書の世界は奥深いものだよねえ。
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サラリーマンオヤジです。本から雑誌、はては新聞・電車の広告まで、活字と名がつけば何でも読む活字中毒です。息をするように本を読んで、会話するように文を書きたい。

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