2014年11月の読了本

※相変わらずの低空飛行が続く。買った本が読めずに積みあがっていくのを見るのは、悔しいようで読むのが愉しみなようで......。(苦笑)

『世界ぶらり安うま紀行』西川治 ちくま文庫
  *著者は世界中を旅する写真家。各地で出会った安くて旨いものを綴る。いわゆる
   「B級グルメ」とは違い、現地の人が日々食べているものを彼らの懐に入り込んで
   食べる。うまそう。新聞や雑記に掲載されたコラムから選出した文庫オリジナル。
『闇の左手』 ア-シュラ・K・ル・グィン ハヤカワ文庫
  *SF界で最も権威があるとされるヒューゴ賞/ネビュラ賞のダブルクラウンに輝いた、
   著者の初期代表作。惑星連合“エクーメン”から極寒の惑星“ゲセン”へと派遣され
   たゲンリー・アイは、はたして無事にゲセンを連合に加盟させることが出来るのか?
   文化人類学や政治倫理、それにジェンダーといった社会科学の様々なテーマが錯綜
  して、知的興奮を誘う。
『読書狂(ビブリオマニア)の冒険は終わらない!』 三上延/倉田英之 集英社新書
  *本を題材にとったライトノベルで有名なふたりの作家が、ひたすら自分らの好きな
   本について語り合った対談集。乱歩や横溝、キングに風太郎といった名前や部屋に
   溢れる本の山、そしてもちろん書店についてなど、馴染みの話題がポンポン飛び出
   す。しかし本の話を読んでいると、何でこんなに愉しいのだろうか。(笑)
『現代の民話』 松谷みよ子 河出文庫
  *『ちいさいモモちゃん』や『龍の子太郎』などで有名な童話作家であり民話の研究家
   でもある著者が、全国各地から集めた口承説話や”実話”を語った本。立風書房の
   『現代民話考シリーズ』を基に、NHK人間大学で12回に亘り語った内容をまとめたも
   のだ。単なる世間話に過ぎなかったものが、やがて民話や説話へと姿と変えていく
   様子が垣間見られて面白い。本書を読むと民話・説話・伝説はもちろんのこと、今
   でいう「都市伝説」も含めて全てが地続きであることがよく解る。そしてそれと同時に、
   現代に新しく生まれる“民話”には思いのほか死の影が色濃いのにも驚かされる。
   『新耳袋』などに代表される怪談実話系もそうだが、説話が生まれる背景には、悲
   しみや恐怖を語ることによってバランスを取り戻そうとする人々の心があるのかも
   知れない。東日本大震災のとき、被災地のあちこちで怪談が語られたという話が思
   い起こされてとても興味深い。
『猫舌男爵』 皆川博子 ハヤカワ文庫
  *ミステリ、幻想、SFなどのちょうど境界付近の作品を5篇収録した短篇集。表題作は
   筒井康隆「色眼鏡の狂詩曲」やW・C・フラナガン(小林信彦)『ちはやふる奥の細道』
   を思わせるような、ゆがんだ日本理解を描いた怪作。(こういう話は大好きだ。/笑)
   しかし残る4篇は死の気配が漂う昏い魅力に満ちた作品だった。未来を舞台にした
   「水葬楽」、不幸な生い立ちの少年の物語「オムレツ少年の儀式」、ある画家の女性
   の一生を断章でつづる「睡蓮」と徐々に陰惨で暗いものになっていき、ラストの「太陽
   馬」ではボリシェヴィキによるロシア革命とその後の壮絶な内戦を描いてまさに圧巻。
   特に気に入ったのは「猫舌男爵」「太陽馬」かな。
『神道』 トーマス・カスーリス ちくま学芸文庫
  *日本独自の”宗教“である神道を客観的な眼で分析した好著。風習と信仰心の境目
   がはっきりしない神道を、郷愁や自然への畏怖に代表される「実存的神道」と、靖国
   や国家神道に代表される「本質主義的神道」に分けて、それぞれの古代からの変遷
   を辿るのが画期的。問題が整理され分かりやすい。
『近代化と世間』 阿部謹也 ちくま文庫
  *中世ドイツを中心としたヨーロッパ文化研究で知られる著者が、「個人」を基本とする
   西洋的な価値観と「世間」を中心とした日本的な価値観を比較する。今の日本社会
   に根強く残る差別や諦観といった「負の価値観」が、実は「世間」を基にした個人意識
   に依るものだというのが結構ショックだった。本は薄いが中身は濃いね。
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サラリーマンオヤジです。本から雑誌、はては新聞・電車の広告まで、活字と名がつけば何でも読む活字中毒です。息をするように本を読んで、会話するように文を書きたい。

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