2014年6月の読了本

 仕事が忙しくて以前ほど読めないので、その分なるだけ良い本を選ぶように心掛けている。思う存分本が読めないストレスを本の購入で解消するせいで、積んである本がどんどん増えているのをどうしたものだろうか。(笑)

『愛書狂』 G.フローベール他 平凡社ライブラリー
  *フローベール、デュマ、ノディエといった錚々たるメンバーにより書かれた、本を巡る
    “懲りない面々”についての作品集で、編集および翻訳は生田耕作。いわゆるビブリオ
    マニアと呼ばれる人々の、滑稽で時に物悲しい生態が赤裸々に綴られるのだが、
    彼らに注がれる著者たちの眼差しはあくまでも温かい。「愛書に狂った人々」では
    なく、「愛すべき書狂たち」という感じだろうか。全編にただよう雰囲気がなんとも
    愉しくて、読んでいて気持ちいい。
『にゃんそろじー』 中川翔子/編 新潮文庫
  *無類の猫好きで知られる歌手の“しょこたん”こと中川翔子が、猫に関して書かれた
   小説やエッセイから選りすぐって集めたオリジナルアンソロジー。全部で20篇の作品
   が収録されており、気軽な読み物ばかりかと思いきや、実際読んでみるといやいやどう
   して大したもの。かなり本気の編集がなされていて、「編集・中川翔子」ということを割
   り引いたとしても、アンソロジーとして充分素晴らしい出来に仕上がっていると思う。猫
   の死についても多く取り上げられているのがこのアンソロジーの特徴で、実際に生活し
   てみると分かるように、ペット(=パートナー)と暮らすというのはただ“可愛い”と
   か“癒される”とかいう事ばかりではなく、飼い主より早く老いていく彼らと向き合う事
   でもあるのだ。特に好かったのは(というと語弊があるかな、印象に残ったのも含めて
   挙げると)島木健作「黒猫」/内田百閒「クルやお前か」/青木玉「ネコ染衛門」/
   保坂和志「生きる歓び」/加納朋子「モノレールねこ」といったあたりだろうか。
『ヘンリー・ライクロフトの私記』 ギッシング 光文社古典新訳文庫
  *著者の自伝的な要素も含んだ小説。田舎に隠遁して一人暮らしをする年配の元作家に
   よる私記の体裁をとっている。乱暴な言い方をすれば“イギリス版徒然草”みたいな感じ
   だが、田舎の自然や四季の移り変わりと気ままな読書の様子が、本好きにとっては堪
   らない魅力。自分も年を取ったらこんな暮しをしてみたいものだねえ。(笑)
『国のない男』 カート・ヴォネガット NHK出版
  *2007年に亡くなったアメリカの国民的作家・ヴォネガットの遺作となったエッセイ集。
   自筆イラストも満載で、昔からのファンとしてはいかにもヴォネガットらしいコメントが
   嬉しい。
『バタをひとさじ、玉子を3コ』 石井好子 河出文庫
  *自身のパリ生活と思い出深い料理の数々を紹介した『巴里の空の下オムレツのにおい
   は流れる』で有名な著者による、料理エッセイの第3弾。お腹が空くよ。(笑)
『喰らう読書術』 荒俣宏 ワニブックスPLUS新書
  *読書家であり愛書家でもある著者が、一番面白い読書の仕方と紙の本への愛着を語る
   一冊。いわゆる“役に立たない読書”の指南書として、これはもう最強なのではないか、
   という気もする。著者の荒俣宏氏の読書に向かう姿勢は、立花隆氏や佐藤優氏らの読
   書スタイルの対極にあるといえる。(そして自分はといえば、もちろん荒俣派に与するも
   のである。/笑) 後半は話が更に広がっていき、"世界を読み解く"という最もエキサイ
   ティングな愉しみと、そのための読書の仕方について解説する。まさにどこを切っても面
   白い本と言える。娯楽としての読書を突き詰めるとやがて教養としての読書と結びつき、
   やがて「読書を愉しむ」という形でひとつになる。その悦びには小説もノンフィクション
   も関係は無く、まるで名人の話を聞いているような心持ちになれる。そんな本。
『書きたがる脳』 アリス・W・フラハティ ランダムハウス講談社
  *副題は「言語と創造性の科学」とある。神経科の医師であり自らも出産時の「産後気分
   障害」で“ハイパーグラフィア” (=書かずにいられない病)という状況に陥った経験を
   もつ著者が、文章(創作物)を書くという行為と、作家の創造性について考察した本。
『薔薇忌』 皆川博子 実業之日本社文庫
  *ミステリと幻想的な作品で知られる皆川博子氏による幻想譚。芝居や舞踏の世界で死者
   と生者が交叉し、芸と幻想とが交歓する。何気ない日常の中、ふいに見えてくる心の奈落
   が怖ろしい。これもまた一種の“リテラリーゴシック”といえるか。収録作の中では「桔梗
   合戦」と「翡翠忌」が特に気に入った。
『神学・政治論(上/下)』 スピノザ 光文社古典新訳文庫
  *17世紀の“危険な知性”スピノザにより書かれた、『エチカ』とならぶ代表作。まるで現
   代人を思わせるような合理的な考え方でユダヤ・キリスト教の信仰を深く考察し、哲学
   (理性)と信仰(道徳心)の両立を目指す。
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サラリーマンオヤジです。本から雑誌、はては新聞・電車の広告まで、活字と名がつけば何でも読む活字中毒です。息をするように本を読んで、会話するように文を書きたい。

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