「読みたい本」を探すには?

 日頃から職場などで周囲に「趣味は読書」と公言していることもあって、ときどき質問を受ける。何かというと、読みたい本をどうやって探すのかということ。大抵の場合、本を殆ど読まない人がその質問をしてくる事が多い。読みたくても読めない「積ん読本」が山のようになっている人間に訊く質問じゃないとは思うけどね(笑)。
 それはさておき、改めてそう訊かれるとちょっと考え込んでしまう。普段意識した事もないものなあ。そもそも「読みたい本を探す」ってどういうことだろうか。読みたくて仕方ない本をどうやって入手するかということ?それとも自分にとって素晴らしい本との出会いを、どうやったら作れるかということ?
 そんなこと自分で考えなよーと言いたいが、それでは話が終わってしまうので、一応両方について考えてみた。

 まず前者の調達方法について。これには新刊書店と古書店を合わせて利用している。(本は直接手に取って選びたい質なので、ネット購入はしていない。)近所で良く行く本屋は新刊系が4店舗に古本系が2店舗の計6軒。それらの中から数店をその日の気分で適当に回っている。
 新刊の場合、買う本は本屋に行く前に予め決めてあることが多い。それだけを買って帰ればものの5分で用事は済んでしまう。しかしそれでは面白くないので、目当ての本を見つけたら取りあえず手に持ったまま店内をくまなく物色することに。
 この「買うかもしれず買わぬかもしれず」という中途半端なブラブラ歩きがとても愉しい。しかも愉しいだけではなくブラブラ歩きには大事な効能もある。たしか前にも書いたと思うが、それはそれまで知らなかった本との「思いがけない出会い」というやつ。これが自分の読書の幅を広げる上で、結構重要なポイントになっているのだ。新刊書店でさえそうなのだから、古本屋は言わずもがな。こちらは文字通り“一期一会”の本ばかりなので、店内は基本的に隅から隅までくまなく見て回る。
 以上が毎週の休日の習慣にしていること。頻度や滞在時間は別にすれば、普通の人の本の買い方とそう変わるものではないと思う。では次に「読みたくて仕方がなくなる本をどうやって見つけるのか?」ということ。でもこれが一番答えにくい質問でもあるのだよな。

 物心ついたころから本の虫だった自分には、「読みたい本」は見た瞬間に決まるもの。あれこれ深く考えたことがない。読んだら期待外れだった事なんて幾らもあるが、少なくとも選ぶ瞬間に限って言えば、純粋に「読みたい!」と思って手に取っている。
 子供のころはどうだったろう。おぼろげな記憶では、学校の図書室や町の図書館の棚を前にして、題名と表紙絵から直感的に選んでいたような気が。そうして手当たり次第に読んでいって、運よくポプラ社の少年探偵やルパンのような面白いシリーズに当たればしめたもの。全て読みつくすまで、立て続けに順番に借りていく。まるで回遊魚のような読書をやっていたというわけ。あかね書房など、同じ装幀で統一された所謂「叢書」というのも概ね参考になっていた。
 そうこうしているうち、お気に入りの著者というのが出来てくる。そうなると“回遊魚”から、その人の本を色んな文庫で探しては読むという“根付きの魚”のような読書をするようにもなったわけだが、そこから今のようになったのは、どうしてだったろう? 全く記憶が無い。
 
 大学生のころからは、もっぱら読む本を購入するばかりになった。図書館なら詰まらなければ読むのをやめて返せばいいが、自分で買った本だとそうはいかない。ハズレの時は余計にがっかりしてしまう。それで注目したのがお気に入り作者の文庫本の解説者。好きな人の解説を書く人の著作はどうか?自分とよく似た趣味の人ならきっと面白いに違いない ――そんな思い込みから始めた突撃読書だったが、勝率は五分五分といったところ。まあ行き当たりばったりよりはマシといった程度か。(*)

   *…ちなみに今ではそうした著者ネットワークのイメージ図というか相関図というか、
     そんなものが頭の中に出来上がっているので読む本を選ぶのに苦労は全くない。
     でも「読みたい本が見つからない人」にとっては、どれが自分の趣味に合うかなん
     て到底想像もつかないんだろうと思う。でもこればっかりは本人が試行錯誤で
     見つけていくしかないもので、如何ともしがたい。

 もしもこの方法をとらないのであれば、従来であれば先程の「思いがけない出会い」に頼るか、または新聞広告や雑誌のレビューに頼るしかなかった。(もしくは知り合いの口コミか。)余談だがベストセラーというのは、普段あまり本を読まない人がそのように“話題になっているから”という理由で手に取ることで、生まれていくものなのだろう。
 このようにして本を探す方法では、新刊情報を知るのが遅くて品切れだったり、もしくはせっかく買った本が趣味に合わないこともしばしば。自分もハズレに当たって閉口した覚えがままある。
 しかし今はいい方法がある。それはインターネット。例えば自分の場合は、「注目の新刊」とか「文庫発売一覧」といったサイトで数か月前から予定を確認。ツイッターでは日々おしゃべり仲間が本の情報を伝えてくれるので、面白い本や注目の本を見逃さずに済んでいる。信用のおける口コミのようなものか。(もっとも、その結果読みたくなってつい買ってしまい、積ん読本が増える結果にもなっているわけだが。/笑)

 以上、たまに訊かれる質問の回答としては大体こんなところだろうか。結局このブログも自分が読んだ本の感想を書き連ねているわけだし、今は情報がいくらでも巷に溢れている。だからその気になりさえすれば、自分が面白いと思える本を探すことは割合簡単なのではないだろうか。
 むしろそれより大事なのは、「たまには本の1冊でも読まなきゃ」といった義務感や見栄ではなく、「面白い本が読みたいー!」という気持ちで読書に臨むことなんじゃないのかね。

<追記>
 子供の頃に何度か、自分が読んで面白かった本を人に薦めて失敗したことがある。それに懲りて今では人に本を薦めることはしていない。面白いかどうかはその人次第だから。それどころか、読書自体を勧めることすらしていない。今は他にいくらでも面白い事があるんだし、義務的に読んだって愉しくもないだろうし…。
 いつかその人が自分で「読みたい」と思えば、自然に読むようになるに違いない。そしてもしも「この本読んだら面白かった。似たのは無い?」と訊かれたら、その時は喜んで答えてあげたいと思うな。
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はじめまして

彩月さんのブログのリンクからやってきました。

「読みたい本」」を探すには?、とっても共感できます。
特に、”「買うかもしれず買わぬかもしれず」という中途半端なブラブラ歩き”!!これ、私もしょっちゅう致します。あっという間に時間がたってしまいますよね。

最近Kindleを買ったので、こういうことも少なくなるかなと思ったのですが、思いがけない出会いはこういう風に本屋でのブラブラ歩きから発生するんだろうなと思うと、やはり本屋めぐりはやめられません。

これからも宜しくお願い致します。

速読おやじ様

こんばんは、ようこそいらっしゃいませ。

こちらこそ宜しくお願いします。
これからもお気軽に遊びに来てくださいね。


そうなんですよねー、本屋はなんであんなに愉しいのでしょう。
Kinndleですか。私は読みたい本があまり電子化されていないので、
まだ電子書籍には手を出していません。

絶版本が電子化されたらきっと買ってしまう気がしますが、
そうすると物理的な制約がなくなるので、
どんどん積読本が増えそうな気がして怖いです(笑)。
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Author:舞狂小鬼
サラリーマンオヤジです。本から雑誌、はては新聞・電車の広告まで、活字と名がつけば何でも読む活字中毒です。息をするように本を読んで、会話するように文を書きたい。

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