疲れた時は…

 夜、仕事を終えて職場を出る。職場の裏の駐車場まで暗い道を5分ほど歩く。気にかかる仕事の事を考えることもあるが、うまく仕事が回った日には好きな本のことを考えながら歩く。すると朝からギリギリと巻かれていたゼンマイが徐々にほどけていくのが判る。
 疲れた時に読む本は、なるべく現実離れしたものが好きだ。東洋ならば、怪異におののき山吹色の幻想に遊ぶ鏡花の世界。はたまた幽鬼や仙人が暮らす『聊斎志異』や『神仙伝』の世界。西洋に目を転じれば、H・P・Lによる宇宙的な恐怖に戦慄する旧神たちの物語や、ブラックウッドにジェイムズにマッケン、ホジスンらの怪奇で幻想的なエピソードもいい。
 SFならば時間が衝突したり結晶化したり崩壊したりといった奇想天外な話や、宇宙の彼方で繰り広げられる絢爛豪華な復讐劇が向いている。ファンタジーでは闇夜にカーニバルが現れ巨人殺しのジャックが活躍し、妖精たちが笛を吹くタイプのもの。あまり現実的なものは遠慮しておきたいね。やたら長いのもこの際は願い下げ。そういうのも嫌いではないけれど、読むのはもっと元気がある時までとっておこう。
 そんなことをつらつら考えながら夜道を歩く。そしてやがて“夜の種族”と化していく。それが自分の精神衛生を保つために必要な、毎日の儀式のようなもの。

 うってかわって翌朝は、早めに家を出て夜明けの道にクルマを走らせる。時間に余裕をもって着いた会社では、駐車場に止めたクルマの中でゆっくり読書タイム。そんなときに読む本は論理明晰なものがいい。学術書で頭のエンジンを全開にすると、始業からのスタートダッシュも利くので一石二鳥だったりする。現実的な物語を読むのもそんな時。(逆に幻想怪奇な物語は朝から読まない方が良い。鎮静作用があるから。)

 こうしてまた一日が回り始めるのだ。

<追記>
 ではミステリや長いエピックファンタジーはいつ読むのがいいだろう。自分の感覚では、それは休日の昼下がり。ゆったりした気分で読むのが良いようだ。もしくは出張に向かう新幹線の中など、他にすることが無く集中できる時間帯でも良い。いずれにせよ心にゆとりを持つことが重要とみた。
 こうしてみると、活字本は自分にとって知識の源泉であり必須栄養素であるとともに、嗜好品であり気の置けない仲間であり、そしてまた心理カウンセラーでもあるのだな。何となく納得。(笑)
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サラリーマンオヤジです。本から雑誌、はては新聞・電車の広告まで、活字と名がつけば何でも読む活字中毒です。息をするように本を読んで、会話するように文を書きたい。

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