2012年10月の読了本

 ※相変わらずの忙しさにかまけて、なかなか本の数が増えていかない。買いたい本はあるの
  だが、むやみに買っても積まれていく一方なのでそうそう買うわけにもいかず、困った
  ものだ。(結局買っているわけだが。/笑)

『“謎の文明”マヤの実像にせまる』 青山和夫 NHK出版
  *「NHKカルチャーラジオ」のテキスト。ラジオ番組自体はタイミングが合わないので
   聴くことが出来ないが、活字としてならいつでも読める。ここ20~30年で飛躍的
   に進んだ中南米の古代文明の研究を、ざっと俯瞰するのにちょうどいい一冊。
   子供の頃に刷り込まれたイメージが、次々に書き換わっていくのが快感でもある。
『新編 SF翻訳講座』 大森望 河出文庫
  *SF翻訳家にしてアンソロジストの著者によるエッセイ。もとは専門誌の『SFマガジン』
   に連載されたものだけに、かなり”濃い話”がふんだんに出てくる。翻訳家のエッセイ
   は昔から好きだし、そこに好きなSFの話が加わるので余計に愉しい。まあ自分にとって
   は、まるでおやつみたいな本と言えるかも知れない。(笑)
『中世幻想世界への招待』 池上俊一 河出文庫
  *悪魔や魔女が跋扈した中世ヨーロッパ。今からすれば「迷信」のひと言で片づけられて
   しまうそれら”中世ならでは”の幻想について、当時の人々の暮らしぶりから成立の背景
   を鮮やかに浮かび上がらせる。(具体的には人狼伝説に象徴される自然へのイメージや、
   ミサの時に起こる「聖体の奇蹟」すなわちキリストの肉とされるパンから血が出たり、
   そこにキリストの姿を幻視すること。泉についてのイメージの変遷。イスラム教徒や
   ユダヤ人や癩病患者といった、社会的な「他者」に対する幻像。そして「死後の世界」の
   イメージに「煉獄」が加わっていく経緯などなど。)こういう歴史学と文化人類学が混じ
   ったような本は愉しい。
『アメリカ版 大学生物学の教科書/第1巻』 D・サダヴァ他 ブルーバックス
  *MIT(マサチューセッツ工科大学)を始めアメリカの大学で広く使われる『LIFE』と
   いう生物学の教科書を翻訳したもの。全3巻の第1巻で本書のテーマは「細胞生物学」。
   細胞内の小器官(細胞核/ゴルジ体/細胞膜/葉緑体など)の構造と働きを、分子式の
   レベルまで詳細に記載。学生だったらテストで問題を解かなくちゃいけないから覚える
   のに必死だろうが、お気らく読者はただ「ふーん、なるほど~」と愉しむだけだ(笑)。
   でも正直いうと先に『HSPと分子シャペロン』を読んでおいて良かった。本書の前提と
   なる「生命活動はタンパク質の合成と分解によるエネルギーの授受のこと」というのが
   理解できていないと、ちょっと難しかったかも。またそのうち第2巻(分子遺伝学)を
   買ってきて読もう。
『日本人のための日本語文法入門』 原沢伊都夫 講談社現代新書
  *外国人に日本語を教えるという仕事についている著者が、これまで自分が学校で習って
   きた「学校文法」でなく、もっとグローバルな「日本語文法」について解説した本。
   前者が古典の文章との整合性を重んじるために、ややもすれば解りにくくなりがちなの
   に対して、後者は(外国人に理解してもらうため)合理的で実用的な文法にアレンジを
   施してある。「は」と「が」の違いなど、積年の疑問が氷解した。
『狐媚記』 澁澤龍彦 平凡社ライブラリー
  *我らが澁澤龍彦氏の幻想小説にイラストレーターの鴻池朋子氏が絵をつけた本。
   「ホラー・ドラコニア少女小説集成」の1冊。
『天体による永遠』 オーギュスト・ブランキ 岩波文庫
  *19世紀フランスの革命家が書いた、宇宙と天体を巡る奇想の書。今年の収穫の一冊。
『松丸本舗主義』 松岡正剛+α 青幻社
  *9月30日をもって3年間の営業に幕を下ろした東京駅の名物書店「松丸本舗」。本書は
   その始まりから終わりまでとこれからの展望を主宰・松岡正剛氏が自ら綴ったもの。
   なるべく早い時期に「捲土重来(けんどじゅうらい)」を望みたい。
『クールな男』 マルセル・エイメ 福武文庫
  *フランス人作家エイメによる、」バラエティに富んだ中短篇を7篇収録した作品集。
   エイメといえば『壁抜け男』に代表される“不思議な話”の作者というイメージが
   強かったが、本書の収録作を読むと久生十蘭に似た資質もあるようだね。サーカス団の
   芸人を主人公にした「こびと」や、ドイツ占領下のパリを舞台に肉の密売をする男たち
   の一夜の話「パリ横断」あたりが、かなり好み。他にも、1年を24か月にする法案が
   通ったことで年齢が半分になった老人たちと、子供に戻ってしまった若者たちの戦いを
   描く「ぶりかえし」など、奇妙で皮肉が効いた話が沢山。仕事で疲れた時にちょっと
   読むのも好い感じ。
『老人のための残酷童話』 倉橋由美子 講談社文庫
  *著者の「残酷童話」のシリーズの一冊で、「老い」をテーマにした作品を集めたもの。
   基本的には様々な説話をベースに独自の味付けをした軽い読み物なのだが、ちょっと
   思いつかないような残酷で美しいイメージは著者の真骨頂。バベルの図書館のような
   建物と書物魔の老人が登場する「ある老人の図書館」、著者の残酷趣味が全開になった
   「姥捨山異聞」も好かったが、一休を彷彿とさせる老高僧と魔性の美女の物語である
   「老いらくの恋」が中でもかなり面白かった。
『ナイトランド 創刊第3号』
  *定期購読中の「幻視者のためのホラー&ダーク・ファンタジー専門誌」の創刊第3号。
   あいかわらず面白い。特に気に入ったのはサイモン・ストランザスの「黒いモスリン
   の小さな穴」に、追悼特集のレイ・ブラッドベリ「死びと使い」の2篇。
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サラリーマンオヤジです。本から雑誌、はては新聞・電車の広告まで、活字と名がつけば何でも読む活字中毒です。息をするように本を読んで、会話するように文を書きたい。

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