“本”本位制

 普通の方は、道を覚えるときに何を目印にするだろう。ランドマークを何にするかで、その人の趣味や性格が結構わかるような気がする。我が家の相方の場合はもっぱらケーキ屋かパン屋(笑)。「どこそこのケーキ屋の角を北に行ったところ」とか言われても自分はちんぷんかんぷんなのだが、本人はそれで理解できているらしい。
 それでは自分はどうかといえば、勿論のことそれは本屋。(ご期待のとおり/笑)例えば「名古屋駅のジュンク堂を通り過ぎて、一本目を左に曲がったところの居酒屋」という風に覚えている。名古屋の街中はだいたいそれでわかるのではないかな。

 本にまつわることが基準になっているのは他にもある。実は金銭感覚もそう。おおよその場合は、本を基準にして考えている気がする。例えば外出先で昼食をとる場合は、定食屋やファミレスなどで7~800円のランチを食べるケースが多い。もしくはベーカリーショップでハード系のパンを買ったり(好きなんです。ハード系のパン^^)。その時に基準としているのは「文庫本1冊」。それがこじゃれたカフェなどで1300円のランチになると、「単行本1冊」となって財布の紐もなかなか硬くなるというわけ。
 会社の飲み会は5000円くらいのコースになることが多いが、考えてみるとアルコールの席というのはかなり割高だよね。もちろん交際費として必要なお金だから、この場合は金額についてあれこれ考えることはない。いや考えないようにしているというのが正解かも。なんせそれだけのお金があれば国書刊行会の本が1冊買えてしまうわけで、考え出すときっと悲しくなるに決まっている。
 自分がタバコやギャンブルをやらないのも同じ理由だ。2日で1冊分の文庫を灰や煙にしてしまうと思うと、とてもじゃないがタバコに手を出す気にはなれない。ましてギャンブルは言わずもがな。パチンコで7000円負けたとか競馬で2万円すった…なんて話を聞くたび、もしも自分だったら気が狂いそうになるんじゃないかと思う。「それだけの予算があれば東洋文庫でも買えちゃうよな」なんて(笑)。

 かように自分の中では本が貨幣価値を決めるもっとも基本的なものになってるため、「金本位制(*)」に倣って、秘かにこれを「“本”本位制」と呼んでいる。慣れるとなかなか便利だ。先ほども書いたように、単位は「文庫○冊」とか「単行本○冊」というのが基本。それぞれ7~800円と1500円程度を意味している。
 またそれを補完する単位として、たまに「みすず書房の本」や「国書刊行会の本」といった、5000円~10000円レベルの本を使うことも。(他には「平凡社ライブラリ○冊」とか「講談社選書メチエ○冊」というのが無いでもない。)

   *…ウィキペディアの記述には、「一国の貨幣価値(交換価値)を金に裏付けられた
     形で金額で表すものであり、商品の価格も金の価値を標準として表示される」と
     ある。「”本”本位制」というのは、金ではなく本(書籍)が商品の価格を表す
     基準になっているという程度の意味。

 しかし最近は「“本”本位制」も揺らぎつつあるのが実情。それは何故かというと、ブックオフを始めとする新・古書店の台頭に最も大きな原因がある。なんせきれいな本でもどれだけ価値の高い本であっても、発行日が古いというだけでドンドン105円の棚に放出してしまうのだ。「文庫本1冊」のつもりが、ある日突然「文庫本8冊」になると思った瞬間、勿体なくてうかうかランチも食べられなくなる。
 この超インフレに対抗するには、新刊書店で手に入れてでも読みたい魅力的な本が、沢山出てくれるのを期待するしかないのだろう。ただしそうなったらなったで、次には積読本が増えるという別の問題が発生することに。どうにも困ったもんだね。(苦笑)
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サラリーマンオヤジです。本から雑誌、はては新聞・電車の広告まで、活字と名がつけば何でも読む活字中毒です。息をするように本を読んで、会話するように文を書きたい。

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