本の「ブランド」

 ※今回は雑文です。

 「ブランド」と聞くと、普通はどんなイメージを思い浮かべるだろう。ルイ・ヴィトンやプラダといったファッション関係の高級品?(いわゆる“ブランド品”というヤツね。)それともベンツやフェラーリといった高級外車? はたまた京都の老舗料亭とか?…いずれにしても、何となく「高い」というイメージを持つような気がする。
 自分の場合はメーカー勤めのサラリーマンということもあって、すぐに頭に浮かぶのは家電品などの日用品のブランド。もちろんオーディオ機器の分野でいうところの「バング&オルフセン」とか、調理器具の「ル・クルーゼ」のように“高級ブランド”と言われる商品も無いではないが、どちらかというと「信頼の証」みたいなイメージが強い。
 本来の意味をネットで調べてみたところ、「自社の製品を他社の類似品と区別するための目印」とあった。多くの場合は、消費者からみた商品価値(たとえばデザインや付加機能、それを所有することで得られるステイタスなど)の違いを明確にアピールするために用いられるものだ。すなわち「高いんだぞ、いいだろ!」というのもブランド価値の一つで間違い無いわけだが、もっと広く解釈すれば「その名前(ブランド)がついた商品を買っておけば“間違いない”と、買い手に思わせる手段」というところではないだろうか。

 のっけから小難しい話になってしまい申し訳ない。なんで急にこんな話を始めたかというと、つい先だって講談社ブルーバックスの新刊で『HSPと分子シャペロン』という本を読んだ時にあることを感じたからだ。それは何かというと、「本の場合にも“ブランド”というのは確かに存在する」ということ。
 『HSPと分子シャペロン』などという、それまで聞いたこともないヘンテコな書名を見て、それでも買ってみようと決心したのは「ブルーバックス」という科学叢書に対する、それまでの信頼の蓄積があったからに他ならない。最近はPHP研究所まで「PHPサイエンス・ワールド新書」などという科学専門の叢書を創刊したり、幻冬舎新書(例えば『宇宙は何でできているのか』)や光文社新書(例えば『深海のパイロット』)までもが科学系の本を出しているが、やはり「ブルーバックス」と聞いた時の安心感には特別なものが。(笑)そう考えてみると、いろんな叢書にはそれぞれ得意な分野があって、それが自分の中で一種のブランドになっている事に気が付いたというわけ。
 それでは思いつくままに、自分の中での色々なブランド叢書について挙げてみよう。

 まずは自分が好きなSFや幻想系のジャンル小説について。
 誰しもぱっと頭に浮かぶのは、早川書房と東京創元社の2社ではないだろうか。ハヤカワ文庫や創元推理文庫の二大叢書に対しては、高校・大学のころは全幅の信頼を置いていたものだ。(ハヤカワ文庫はここ数年、自分の好きなタイプの作品が出ないので、ちょっとご無沙汰気味だが。)
 ひと昔まえならば、サンリオSF文庫という今でも語り草になるほどのマニアックなシリーズがあったのだが、今ではその路線は国書刊行会が「未来の文学」や「レム・コレクション」といった叢書でしっかり踏襲してくれている。(ハードカバーで値段が高いのが玉に瑕だけど。)

 学術系のブランドは沢山ある。文庫版なら講談社学術文庫とちくま学芸文庫がしのぎを削っているし、選書では社会学系に強いNHKブックスとか、「選書の価格破壊」と呼ばれたほどお買い得品が目白押しな講談社選書メチエなど。もはや出版社自体がブランドと化している法政大学出版局とか、みすず書房なども絶対的な信頼を置いている。(値段が高くておいそれとは手が出ないが。)
 新書だったら岩波新書とか中公新書あたりかなあ。ちくま新書や平凡社新書も結構いい企画をだしてくれるブランドだと思う。(あ、そういえば平凡社ライブラリーを忘れていた。)
 このあたりはどれも自分にとってはテッパンの叢書ばかりといえる。

 ちょっと変わったところでは、双葉文庫が『沖縄にとろける』とか『沖縄暮らしの家族ごはん』といった、ディープな沖縄本を意外と沢山出しているので要チェック。双葉文庫は他にも『なまら北海道だべさ!!』といった北海道のご当地ものも出したりして、結構侮りがたい。(この文庫では小説は殆ど読んだことがないのだが。/笑)
 新潮文庫や講談社文庫、文春文庫や角川文庫などの各社売れ筋文庫を、仮に(何でも売ってる)スーパーマーケットに例えるなら、今あげたような叢書の場合は、それぞれに個性を磨くことで差別化を図るセレクトショップみたいなものと言えるのかもしれない。
 他の方にとってはどのようなものが「ブランド」なのだろう? もしもお気に入りの「お店」(叢書)があったら一度お聞かせいただけると嬉しいですね。(^^)
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お気に入り。

こんばんは。
海外文学は、あまり詳しくないのですが
白水Uブックスは新書サイズで読みやすいですし、
ここから選ぶと良い本が見つかるという安心感があります。
文芸書の文庫なら河出文庫とか中公文庫とかが
買うならここの棚から選ぶという気持ちになります。
ブルーバックス、講談社学術文庫は確かに安心感ありますよね!

みどりのほし様

こんばんは。
おお、そういえばUブックスがありましたね。
あそこはエッセイもハズレがなく愉しいので好きです。

文芸書なら河出や中公が好いというのも、
よーくわかります。(笑)

叢書のブランド価値というのは、
未知の本に手を出すかどうか迷っている時、
ひとつの目安を指し示してくれる存在という気がしますね。
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サラリーマンオヤジです。本から雑誌、はては新聞・電車の広告まで、活字と名がつけば何でも読む活字中毒です。息をするように本を読んで、会話するように文を書きたい。

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