書物の栄養素

 「本はこころの栄養」だとか「読書はあたまの食事」だとかいう言葉を聞いたことがある。全くの同感、まさしくその通りだと思うが、今回はそれをネタにちょっと遊んでみようかと。すなわち、本を文字通りの“栄養”に譬えてみたらどうなるか?というお話。

 自分の好きな本のジャンルは、以前にも述べたように「人文・社会・自然科学などの学術書」「小説や説話などのフィクション」「エッセイや紀行文」の3種類。これらが自分にとってはどんな栄養素にあたるのか、それぞれ順番に考えてみた。
 まず「学術書」を何かの栄養素に譬えるならば、さしずめタンパク質やカルシウムに相当するのではないだろうか。いずれも筋肉や骨の材料になったりして、いわば身体を作る元になるものだ。同様に、学術書を読むことで得られる新しい知識や思想は、世界をこれまでよりも更に愉しむ為の、道具やモノサシになる。これらの知見が血となり肉となることで、今の自分の“カラダ”を作ってきたのだ。
 つづく「フィクション」は、活動するためのエネルギーになる炭水化物。この愉しみがあるからこそ、日々の生活で辛いことがあっても、何とか乗り切っていけるのだ。ちなみに同じフィクションでも小説ではなくマンガの場合、すぐに読めて即効性があるので炭水化物というより、むしろ“脂肪”と言った方がいいかも。ここらへんのジャンルは口当たりがよくて幾らでも読めてしまうので、気をつけないとつい“食べ過ぎ”て本棚の「肥満」の原因になりかねない(笑)。
 残る「エッセイ」については、カラダの材料にもエネルギーにもならないが、それでも自分にとって無くてはならないもの。というわけで、言うなれば身体の調子を整えるビタミンやミネラルのようなものか。

 調子に乗って(笑)、それぞれのジャンルについて昨年の“摂取量”を数えてみた。その結果は、学術系とフィクションがそれぞれ4割で、残りの2割がエッセイという感じ。適当に読んでいた割には、意外とバランスよく散らばっていたので正直おどろいた。特に意識はしていなかったのに「栄養バランス」が結構とれていたのは、我ながらエライ(笑)。
 おそらくこれは複数の本を併行読みしたせいもあるはずだ。本物の食事でもそうだが、栄養はただ取れればいいというものではなく、いかに美味しく摂取するかも大事なポイント。(サプリメントや栄養剤ばかりじゃそのうち嫌気がさす。)それには個々の本の「味」はもちろん重要として、さらに本を読む順番を意識したり、組み合わせて読むことでさらに「味」に深みが増すのを活用しない手はない。
 例えばの話、中世ヨーロッパの習俗について阿部謹也氏が書いた本を読んだとしたら、その次には中世日本について網野善彦氏が書いた本を読むとか。あるいは講談社ブルーバックスで最新宇宙論の本を読みながら、同時に野尻泡影氏の星座随筆を愉しむとか。それらの合間には、口直しで岡崎武志氏の古本エッセイを挟んだり、ホジスンやブラックウッドの怪奇小説に浸るのもいい...。
 きりがないのでこれくらいで止めておくが、他にも正反対のタイプの本を併読したりとか、組み合わせ次第で愉しみ方は無限にあるといってもいい。
 これからも“偏食”しないでバランスよく“栄養”をとることを心がけ、末長く健康的な「活字生活」を愉しみたいものだね。(笑)
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No title

こんばんは。
中世西洋史のゼミにいたので、阿部謹也さんにはお世話になりました。史学科の人間でなくても楽しめる文章で、中世を旅する人びとなんかはハッキリ記憶に残ってますね。
本を読む順番、あるいは併読する組み合わせって大事ですよね。
僕は偏食ばかりで、毎日カップラーメンばかりで吹き出物が大変、みたいな感じになってしまっています。

栄養第一(笑)

慧さん、こんばんは。

阿部謹也氏の本、面白いですよね。

ところで、昔は結構 暴飲暴食をしてたんですが、年とってから食生活と同様に読生活にも気をつけるようになりました。

あんまり脂っこいのは胸やけしちゃいそうで、もう駄目ですねー(笑)。
若いうちは好きなものでも何でも、ガンガンいっちゃっていいと思いますよ。羨ましいです(^^)。
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Author:舞狂小鬼
サラリーマンオヤジです。本から雑誌、はては新聞・電車の広告まで、活字と名がつけば何でも読む活字中毒です。息をするように本を読んで、会話するように文を書きたい。

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