『悪魔のいる文学史』 澁澤龍彦 中公文庫

 バルザック、ユゴー、デュマなど19世紀初頭のフランスで活躍した名だたる文豪たち。その陰に隠れてひっそりと咲いたあだ花とでもいうべき「小ロマン派」と呼ばれる文学者の一群を中心に、サドやマゾッホなど著者が好む作家たちについて書いた評伝集。
 「小ロマン派」は神秘主義的・オカルティックな嗜好や常識を否定するような熱狂的な表現を特徴とする一群で、ボードレールの『悪の華』などにもインスピレーションを与えるなど、当時はそれなりに注目されたようだが、その後は完全に世の中から忘れ去られてしまった。彼らを古本や図書館の棚から発掘して再評価をしたのはシュールリアリズム運動の中心人物であったアンドレ・ブルトンで、かなりお気に入りだったらしい。シュールリアリズム運動にも影響を与えた。(なにしろ全く知らない作家や詩人たちなので、このあたり全部、澁澤の受け売り。)
 その中のひとりにデフォントネー(ドフォントネー)がおり、『カシオペアのΨ(プサイ)』が紹介されていたのはちょっと得した気分。国書刊行会の世界幻想文学大系の中で、デイヴィッド・リンゼイの『アルクトゥールスへの旅』と並んで気になっていた書名だったから。『アルクトゥールス…』はその後、サンリオSF文庫版で楽しんで読んだが、今回『カシオペア…』の粗筋を読む限りでは、それに負けず劣らずの奇書の様子で面白かった。
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サラリーマンオヤジです。本から雑誌、はては新聞・電車の広告まで、活字と名がつけば何でも読む活字中毒です。息をするように本を読んで、会話するように文を書きたい。

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