My choice/2011年印象に残った本

 2011年のblogを締めくくるにあたり。昨年に引き続いて今年読んだ本の中から特に印象に残った本を挙げてみよう。今年の特徴としては、フィクションが例年になく充実した年だったと思う。(その分、散財もしたが。)
 個人的には山野浩一氏や水見稜氏など、昔夢中になった作家の作品が、装いも新たに再登場したのは感無量。

<新刊部門> ―今年出版された本―
『迷宮としての世界(上/下)』 グスタフ・ルネ・ホッケ 岩波文庫
  *マニエリスム芸術を総合的に解説した力作。松岡正剛により千夜千冊のキーブックスの
   1冊にも挙げられている。
『ミステリウム』 エリック・マコーマック 国書刊行会
  *摩訶不思議な作家のとっても素性が良いメタフィクション。デビュー作の『パラダイス
   ・モーテル』も復刊されてめでたい。
『千年紀の民』 J・G・バラード 東京創元社
  *いつしかSF作家の枠を超えて現代イギリスを代表する作家となったバラードの
   “到達点”とされる作品。現代の国際社会を予言するかのような切れ味を堪能した。
『ダールグレン(Ⅰ/Ⅱ)』 サミュエル・R・ディレイニー 国書刊行会
  *やっと(!)邦訳が叶っただけでもありがたい。とっても長くて値段も高いうえ、内容
   についても賛否両論ある作品だが、自分としては至福の読書体験だった。
『全身翻訳家』 鴻巣友季子 ちくま文庫
  *本エッセイとしては自分の理想に近いものかも。本棚にずっと取っておきたい本。
『本棚探偵の生還』 喜国雅彦 双葉社
  *本棚探偵シリーズ7年ぶりの3作目。ギャグ漫画家の著者による古本と探偵小説をネタに
   したエッセイで、相変わらずの面白さ。
『連塾 方法日本Ⅲ フラジャイルな闘い』 松岡正剛 春秋社
  *セイゴオが「日本という方法」について、自らの知識を惜しみなく語った連続講義録の
   最終巻。
『時間はだれも待ってくれない』 高野史緒/編 東京創元社
  *現代の東欧諸国のファンタスチカ(SFやファンタジーの総称)作品を紹介するオリジ
   ナルアンソロジー。これを編んだ編者も出版した出版者も偉い。
『ゆみに町ガイドブック』 西崎憲 河出書房新社
  *ジャンル分類不能の傑作小説。(じわーと心に染みてきて、いつのまにか大切な作品に
   なっていそうな予感。)

<既刊部門> ―古本・絶版とりまぜてとにかく今年自分が読んだ本―
『日本力』 松岡正剛/エバレット・ブラウン PARCO出版
  *東京在住の写真家・ジャーナリストであるブラウンと松岡正剛が、日本の文化や思想が
   持つ「力」について語った対談集。
『人間的自由の条件』 竹田青嗣 講談社学術文庫
  *現代国際社会が抱える、テロや民族問題といった難問を克服する根本原理について、
   哲学者である著者が古今の哲学思想をヒントに考察した画期的な著作。
『シャーロック・ホームズの記号論』 T・B・シービオク他 同時代ライブラリー
  *ホームズの推理方法を題材にして、記号論的な分析の実例を紹介する。
『ストリートの思想』 毛利嘉孝 NHKブックス
  *2000年ごろから顕著となってきた、社会運動と音楽などの文化と現代思想が一体化した
   形態を「ストリートの思想」となづけて紹介。この思想の特徴は、何といっても路上
   での実践にある。
『不均衡進化論』 古澤満 筑摩選書
  *ダーウィンの進化論が持っている違和感のようなものをすっきり解消してくれた本。
   もっと注目されて良いと思うのだけどなあ。
『白鯨』 メルヴィル 岩波文庫
  *高校時代の挫折体験から○十年。やっと念願かなって読破したが、聞きしに勝る傑作で
   大満足。
『生命はなぜ生まれたのか』 高井研 幻冬舎新書
  *地球生命の起源と目される深海熱水域を探査する研究者が、最先端の研究成果と自らの
   仮説を一般読者にも分かりやすく解説。自分は宇宙マニアであるとともに深海マニアで
   もあるので、本書はかなりツボだった。
『神話学講義』 松村一男 角川選書
  *捉えどころがない「神話学」というものをわかりやすく解説している基本図書。
『百鬼夜行の見える都市』 田中貴子 ちくま学芸文庫
  *「百鬼夜行絵巻」で有名な「百鬼夜行」という概念について、平安時代まで遡ってその
   成立を解き明かした画期的な論考。解説を京極夏彦が書いている。

【中入り】
 今年2011年は、東日本大震災や原発事故をはじめ、ビン・ラディンやカダフィ暗殺の暗殺、さらには金正日の死亡にタイの洪水など、とんでもない出来事が目白押しの1年だった。今年の出来事が決して収束したわけではなく、まだ来年も世界は続いていくわけだが、少しでも良い方向に進んでいく事を願ってやまない。
 ところで個人的には、年間に読んだ本が210冊を超えて、社会人になってからの最高を記録することができた。これは出張が多かったということ以外に、ブログを始めたことで弾みがついた為というのも理由のひとつ。別に沢山読むのが目的ではないが、結果としてよい本に出会えるチャンスが増えるなら、そんな有難いことはない。
 それでは来年もボチボチとマイペースでやっていきますので、宜しくお願いします。
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サラリーマンオヤジです。本から雑誌、はては新聞・電車の広告まで、活字と名がつけば何でも読む活字中毒です。息をするように本を読んで、会話するように文を書きたい。

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