2011年11月の読了本

『時間はだれも待ってくれない』 高野史緒/編 東京創元社
  *東欧のSF(ファンタスチカ)作家たちの今を紹介するオリジナルアンソロジー。
『百鬼夜行の見える都市』 田中貴子 ちくま学芸文庫
  *今昔物語などに出てくる日本独特の伝承である、「百鬼夜行」の謎を探った本。
『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』 岩波文庫
  *中世のドイツで人気を博したいたずら者の物語。訳者は『ハーメルンの笛吹き男』や
   『中世の星の下で』などの著作で知られる阿部謹也氏。
『犬と旅した遥かな国』 織本瑞子 中公文庫
  *「人生の中休み」をとることを決めた夫婦が、愛犬をつれてスペイン&ポルトガル
   を旅した200日の記録。
『法然の編集力』 松岡正剛 NHK出版
  *浄土宗の創始者・法然の生涯と思想を紹介する。
『ノディエ幻想短篇集』 岩波文庫
  *フランスを代表する幻想作家の短篇集で全6編を収録。普通に言われるようなタイプの
   「幻想小説」をイメージして読んだら全然違った。特に最初の二編は「何だこれ?」
   という感じ。幻想というよりむしろ夢想とか幻惑といったほうがぴったりくるかも。
   誰が見た夢なのか分からぬままに、亡霊や妖精などによる神話的且つ濃厚なイメージが
   ひたすら綴られる。中では悪魔に魂を売って破滅していく男を描いた「死者の谷」と、
   聖母伝説をテーマにした「ベアトリックス尼伝説」が好かったかな。
『大衆の反逆』 オルテガ・イ・ガセット ちくま学芸文庫
  *著者はスペインの哲学者。第二次世界大戦前のヨーロッパ社会に顕著となってきた
   「大衆」という存在について、分析と批判を繰り広げる。
『メロンの丸かじり』 東海林さだお 文春文庫
  *いつもの食べ物エッセイの最新刊。
『肝臓先生』 坂口安吾 角川文庫
  *1998年公開の映画『カンゾー先生』(監督:今村昌平)の公開にあわせて発行された
   短篇集。(しかし角川はよくこの手の企画本を出すねえ。)
   少し古い本だけど、安吾がプチマイブーム中なので、均一台で見つけてきた。
『共感する女脳、システム化する男脳』サイモン・バロン=コーエン NHK出版
  *書名はイマイチだが、中身は女性と男性の脳の違いによる特徴を研究者が解説した
   (ちゃんとした)本だった。しかしこの邦題、もうちょっと何とかならないものか。
   今回はたまたま中身を確認したから読んだけど、普通なら絶対に手に取らないはず。
『ソドムとゴモラの滅んだ日』 金子史朗 中公文庫
  *うーん微妙(苦笑)。明らかなトンデモ本ではないけれど、ちょっとボーダーラインに
   足がかかっている感じが。本書のテーマは「旧約聖書に出てくるソドムとゴモラは、
   かつて死海の南部地域に実在し、地震によって滅んだ。」ということを論証しようと
   いうもので、著者は地質学の研究者のようだ。昔の死海周辺に関する地質学的な考察は
   かなり説得力があるのだが、問題は「ソドムとゴモラが実在した」という点について。
   歴史学者の発掘調査のエピソードや聖書の記述からの推理が書かれてはいるのだが、
   初めから「実在するもの」と決めつけられているようでどうも納得できない。
   学説として広く世間に問うには正直言って少々ワキがあまい気がする。もしかしたら
   著者は理系人間にありがちな「専門以外のことには疎くて思い込みが激しい」という
   タイプなのかも。それとも誰かの眉つばっぽい話を鵜呑みにしてしまったのかな?
『自己組織化の経済学』 ポール・クルーグマン 東洋経済新報社
  *「複雑系」の理論を経済学に適用して、好不況の波や都会と田舎の区分けがなぜ自然に
   起こるのかを説明しようとした試論。ちなみに著者の専門は国際経済学で、2008年には
   ノーベル経済学賞を受賞している。
『マインド・イーター(完全版)』 水見稜 創元SF文庫
  *かつてハヤカワ文庫から出ていた短篇集に漏れていた2篇を追加した完全版。最近の
   創元は、(山野浩一氏の短篇集といい、)長らく入手困難だった作品を積極的に拾い
   上げてくれるのでとても嬉しいなあ。
『京都、オトナの修学旅行』 赤瀬川原平/山下裕二 ちくま文庫
  *芸術家と絵画史の研究家が2人で旅する“修学旅行”の第2弾で、今回のテーマは京都。
   超有名な観光スポットを(色眼鏡なしで)ありのままに見て回るというもので、これが
   滅法面白い。取り上げられるのは金閣・銀閣に東寺や清水寺、嵐山などミーハーな場所
   もあれば、千利休ゆかりの待庵(まちあん)や楽焼(らくやき)の樂美術館など、渋い
   ところもあって全部で12か所。
   建築家・藤森照信氏の言葉として、「和風は贅沢。和風と言うのはある種の質素さが
   基本にあるので建物だけあっても和風にはならない。空間があって初めて成立する」
   とか、なかなか鋭い話を散りばめつつ、且つ和気あいあいと“修学旅行”は進む。
   やっぱり京都は子供じゃなく大人になってから行くべきだねえ。いいなあ、京都。
   また行きたい。
『桜の森の満開の下』 坂口安吾 講談社文芸文庫
  *安吾のプチマイブーム第2弾。こんどはいかにも「物語」を感じさせる作品ばかりを
   集めた短篇集。傑作寓話の表題作や「夜長姫と耳男」の他、歴史小説「二流の人」等を
   収録。
『創世記』 岩波文庫
  *旧約聖書で「モーセの六書」とよばれるのは、「創世記」「出エジプト記」「レビ記」
   「民数記」「申命記」「ヨシュア記」。本書はそのうちの最初の書で第1章の天地創造
   から、第50章のヨセフの死までが記されている。『聖書物語』は読んだのだが、実は
   旧約聖書の原典を読んだのは今回が初めて。印象としては宗教の経典というよりも、
   むしろ日本書紀みたいな「神話っぽい歴史書」という印象。
『連塾 方法日本Ⅲ フラジャイルな闘い』 松岡正剛 春秋社
  *松岡正剛はこれまで多くの著作「“日本”についての思索」を行ってきた。本書はその
   エッセンスを全8回の連続講義の形で披露したイベント「連塾」の講義録。全3巻の最終
   巻にあたる本書には、第7回/第8回を収録。
『宮沢賢治の彼方へ』 天沢退二郎 ちくま学芸文庫
  *詩人であり物語作者でもある著者が、宮沢賢治の創作活動の通低音として響き続ける
   「死」をキーワードに作者および作品について詳細に分析した論考。大きくは3つの
   パートに分かれる。ひとつは『よだかの星』から『グスコーブドリの伝記』までの
   「自己犠牲」についての考察。もうひとつは『風の又三郎』を中心に詩人の創造作用に
   ついて語ったもの。最後は詩集『春と修羅』および長詩『小岩井農場』と、妹の死を
   詠った『無声慟哭』をとりあげて賢治の内面に踏み込んでいく。そしてこれら全てを
   結ぶのが『銀河鉄道の夜』と「最愛の妹とし子の死」というのが著者の意見。
   詩誌「凶区」に掲載された論考なので、著者の詩人としての面が比較的色濃く出たもの
   になっていると思う。
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No title

ごぶさたしております。
唐突ですが、「読書メーター」ってご存知ですか?(ですよね?)
これだけ読まれてると、都度登録するだけでも大変かも知れませんが、
もしご存知なかったらと思って。では。
http://book.akahoshitakuya.com/

おひさしぶりですw

しょーちゃんさん、こんにちは。おひさしぶりです。

「読書メーター」ですよねー。友人も何人かやっているのでときどき見てはいるのですが、迷いますよねえ。その都度感想を書いたりしてないもので(結構ムラがあるんです^^;)、登録が面倒かなーとか思ったりして。

でも気まぐれなので、そのうちとつぜん始めるかもしれません。
ご親切にどうもありがとうございましたw。

No title

こんにちは。さっそくお邪魔します。9日にブログを紹介していただき、ありがとうございます。
大好きな「桜の森の満開の下」がありましたので、こちらにコメントさせていただきます。この話は、いろいろと思うことが多く、時々読み返している中の一つです。そして春になると、満開の桜の下で思わず立ち止まってしまいます。
時々立ち寄らせていただきます。では、また。

ご訪問ありがとうございます

rioさん こんにちは。

先日はありがとうございました。早速ご訪問いただきまして有難うございます。
安吾いいですよねえ。先日、同じ作者の「風博士」とかの話しをしていたら、無性に読み返したくなってしまいましたw

これからも気が向いたらで結構ですので、ふらっとお立ち寄りいただけたら嬉しい限りです。
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Author:舞狂小鬼
サラリーマンオヤジです。本から雑誌、はては新聞・電車の広告まで、活字と名がつけば何でも読む活字中毒です。息をするように本を読んで、会話するように文を書きたい。

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