『密室入門』 有栖川有栖/安井俊夫 メディアファクトリー新書

 古今東西のミステリに登場する「密室」について、ミステリ作家と建築家が建築学的な観点から考察を加えた肩の凝らない対談集。“ナレッジエンタ読本シリーズ”の単行本『密室入門!』(2008刊)年を新書化したもの。ミステリの中でも特に「本格モノ」が好きで、その中でも「不可能犯罪」と呼ばれるものを偏愛する身としては、「密室入門」と聞いては避けて通れない。(笑) 早速買って読んでみた。
 密室の定義や特性などについて真面目かつ緩やかに論じられていてなかなか愉しい。読んだ印象としては、五十嵐太郎/磯達雄両氏による好著『ぼくらが夢見た未来都市』のような感じ。ただしあちらはSF小説と建築について語ったもので、こちらはミステリだが。
 それにしても「どーでもいいこと」(失礼!)について真剣に考えるというのは、どうしてこうも面白いんだろう。精神的なゆとりが感じられるからかな。
 
 本書の愉しい雰囲気をちょっとだけ紹介しよう。
 著者らによれば、「密室」というのは「モルグ街の殺人事件」が初めて登場して以来、本格ミステリのシンボル的な存在なんだとか。(「中から鍵が掛っている。斧でぶち破れ!」というのがお約束。)一方ハードボイルドではそれが「失踪」に代わるのだそう。探偵事務所に依頼人が来て「娘を探して欲しい」というのが王道のパターン。(しかも探偵の机の引き出しにはバーボンの瓶が転がっていて、探偵には過去に友人を亡くした苦い思い出を持っていたりという…。/笑)
 こんな感じの話が延々と続き、対談の間じゅう笑いが絶えない。2人ともミステリが好きで堪らないんだねえ。本書は精神的に疲れた時などに読めば、疲労回復にかなり効果がありそう。自分にとっては「読むクスリ」といえるかも。

<追記>
 有栖川氏には一時期、不動産屋のチラシに部屋の間取りが描いてあると、ついそこに死体の絵を描き込んでしまう癖があったとのこと。さすがにミステリ好きもここまでくると殆どビョーキの域。これには笑った。
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サラリーマンオヤジです。本から雑誌、はては新聞・電車の広告まで、活字と名がつけば何でも読む活字中毒です。息をするように本を読んで、会話するように文を書きたい。

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