A&Bストルガツキー_My favorite 2

<マイベスト>
★『ストーカー』 ハヤカワ文庫SF
  *謎の存在が地球各地に残していった「ゾーン」と呼ばれる地域に違法に侵入して
   価値ある物体を盗んでくる、「ストーカー(密漁者)」達の苦悩とサスペンスを描く。
★『蟻塚の中のかぶと虫』 ハヤカワ文庫SF
  *「遍歴者」と呼ばれる謎の存在と、レフ・アバルキンという人物をめぐって
    緊迫した物語が展開する。
★『みにくい白鳥』群像社
  *「濡れ男」が出没する街を舞台に、旧世代と子供たちの溝が深まっていき
    やがてカタストロフィが...。
次点)
「リットルマン」群像社 ソビェート文学第45号(1973年)
『波が風を消す』 ハヤカワ文庫SF
『そろそろ登れカタツムリ』群像社
『滅びの都』群像社

 テーマ性といい小説としての完成度といい、まず『ストーカー』『蟻塚の中のかぶと虫』
『みにくい白鳥』の3作品の当選は揺るがないところ。シリーズとしては「リットルマン」『蟻塚…』『波が風を消す』という3作の組み合わせがずば抜けて凄いと思う。
 ちなみに通常はマクシム・カンメラーを主人公にした『収容所惑星』『蟻塚…』『波が…』を3部作としてとらえる向きが多いが、テーマの一貫性からすると『収容所惑星』を外して、「ソヴェート文学45号」に抄訳の形で紹介された「リットルマン」を加えた“遍歴者”3部作としてとらえる方がいい。なぜあんな凄い「リットルマン」という作品を群像社は本にしてくれないんだろう。あれが普通に読めるようになれば、“遍歴者”という謎の存在を狂言回しにした異存在同士の様々なコミュニケーションのあり方という視点から、ストルガツキーについての新しい評価がなされるのではないか?といっても、そんなこと気にするのは日本で数人しかいないかも(笑)。(この話、多分ほとんどの人が何のことか分からないと思うが、好きな作家なので書いているうちに自分で勝手に盛り上がってしまった。)
 コミュニケーションが成り立たない前提で、自分がどのように振る舞うか?もしくは理解すらできない存在を人類はどう捉えるべきか?という大上段で構える視点はレムの真骨頂であるが、あまりに徹底しすぎていて時に取り付くシマもないほど。その点、ストルガツキーは人間的苦悩を主題に置こうとしているだけ、より感情移入もしやすく読みやすい。ただし比較的読みやすいハヤカワ版にくらべ、群像社から出ている作品群は、ディープなストルガツキーが目白押し。ファンにはそれがまた堪らないんだけれど。

【人と作品】
 旧ソ連を代表するSF作家。日本文学研究家である兄のアルカジイと天文学者の弟ボリスの合作。レムがSFの枠を超えた存在だとしたら、ストルガツキー兄弟はあくまでもSFというジャンルにこだわったと言えるかも。しかしながら、深いテーマ性をもった彼らの作品は、ジャンルの枠どころかソ連という体制の枠にさえ収まりきれないスケールを持ち、その結果当局から何度も出版禁止の処遇を受けた。兄アルカジイは1991年に死去。
 ソ連崩壊後は紹介が長らく待たされた作品群が次々と翻訳・紹介され、噂どおりの傑作であることを示した。

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サラリーマンオヤジです。本から雑誌、はては新聞・電車の広告まで、活字と名がつけば何でも読む活字中毒です。息をするように本を読んで、会話するように文を書きたい。

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