スタニスワフ・レム_My favorite 1

★『ソラリス』国書刊行会
  *言わずと知れたレムの代表作。生きている海「ソラリス」を巡って形而上学的な思索と
   謎とスリルとラブストーリーと架空の博物誌が同居してなおかつSFであるという
   奇跡的な作品。
★『砂漠の惑星』ハヤカワ文庫SF
  *ある惑星で謎の失踪をとげた調査隊の救出に向かう宇宙船「無敵号」が遭遇する危機。
   小説のとっつきやすさでは一番かも。ラストに漂う何とも言えない物悲しさが好いなあ。
★『捜査』ハヤカワ文庫SF
  *死体窃盗事件を捜査する警察だが、事態はやがて不可解な様相を見せ混迷を深めていく。
★『天の声』サンリオSF文庫⇒国書刊行会(『天の声/枯草熱』)
  *小熊座の方角から届いたニュートリノによる通信(?)を解読しようとする取り組みと、
   それが挫折するまでを当事者の自伝の形で語る。何もドラマチックなことが起こらない
   のに面白いのは、読んだ時ホントに驚いた。
★『大失敗』国書刊行会
  *一時SFから離れたレムが再び復帰してから書いた最後の長編作品。長らく待った甲斐
   があった。

次点)
『宇宙飛行士ピルクス物語』 ハヤカワ文庫SF
『完全な真空』国書刊行会
『虚数』国書刊行会
『泰平ヨンの未来学会議』集英社
『エデン』ハヤカワ文庫SF

 『ソラリス』はロシア語からの重訳の『ソラリスの陽のもとに』ではなく、絶対にポーランド語版から直接訳した国書刊行会版が好い。これはレム作品の中でも別格として、そのほかでは『砂漠の惑星』『天の声』『捜査』と続き、そして『大失敗』で止めを刺す。これら5作は多分揺るがないとおもうが、後は次点として『ピルクス』『完全な真空』『虚数』『未来学会議』『エデン』あたりが出たり入ったりする感じ。『大失敗』は翻訳自体はあまりうまくないが、それを補って余りあるほどの面白さで一気読みしてしまった。ピルクスが第1部の主人公として出てくるのもファンサービスとしてとても嬉しいところ。まさにレムSFのラストを飾るにふさわしい大傑作だと思う。
 「レム節」とでも呼べばいいのか、欧米作家にはないレム独特のモチーフとして“不可知なものとの出会い”を描いて、「色々とトライする中で何とかなりそうな気配もするが結局なんだか分からない」というのがある。先に挙げた5作は全部そんなタイプの話で、いずれもレムらしさを満喫できるので大のお気に入り。もっとも『泰平ヨン』シリーズに代表される文明批評ものや『虚数』のようなメタフィクションも、たまに無性に読み返したくなるのだけれどね。

【人と作品】
 ポーランドの作家。ジャンル的にはSFの範疇に含まれる作品が多いが、それらが持つ深い思想性が世界中で高く評価されており、本国では国民的作家だった(らしい)。今の日本でいえば村上春樹みたいな感じか?
 住んでいた場所に因んで「クラクフの賢人」とも評された。2006年死去。
 作品は『ソラリス』『砂漠の惑星』『天の声』『大失敗』などの本格SF、『泰平ヨンの航星日誌』にはじまる“泰平ヨン”シリーズや『宇宙創世期ロボットの旅』などの寓話的作品、『捜査』『浴槽で発見された手記』『枯れ草熱』などのメタミステリ、そして『完全な真空』『虚数』といったメタフィクションに大別される。
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「ソラリスの陽のもとに」スタニスワフ・レム

菫色の靄におおわれ、たゆたう惑星の海。意見なんの変哲もないこの海だったが、内部では数学的会話が交わされ、みずからの複雑な軌道を修正する能力さえもつ高等生物だった!人類とはあまりにも異質な知性。し...

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No title

私も「ソラリス」は国書刊行会版(沼野訳)のほうが正確であることは間違いないしいいと思うのですが、スナウトの一人称が「おれ」、「おれたち」なのがとても気に入りません。飯田訳の「ぼく」「われわれ」のほうがはるかにいいと思います。
「ソラリスの陽のもとに」の飯田規和氏はロシアSFの名翻訳者で非常に美しい翻訳をされる方で、日本語の美しさという点では沼野氏とは比較にもならないと思います。作品の独特な雰囲気にも飯田訳のほうがしっくりくる印象があります。重訳というハンデはありますが、30年親しんだ訳でもあり、私は読み返すなら飯田訳のほうを読みますね。

ちなみに私のレムのベスト5は、
「ソラリス」「砂漠の惑星」「ピルクス」「現場検証」もうひとつは「虚数」とどっちにするか悩んで「星からの帰還」ですね。あとは「地球の平和」の翻訳が出るのを願うばかりです。できれば大野典宏氏以外の翻訳で。

レム

piaaさん こんにちは。おっしゃるようにハヤカワ版の飯田さんの訳はいいですね。より文学的というか、格調が高い感じがします。

ただ私は(極端に読みにくいものは別にすると)訳調はさほど気にしないたちなので、それよりもロシア語からの重訳で削られてしまっていた「海」が建築物に喩えられるシーンや、ハヤカワ版で「悪魔の海」としてあるところが実は「白痴の海」であったという”ニュアンスの違い”を重視しました。後者の方がよりレムっぽい感じがして、自分としては好みでした。(^^)

それにしてもレム・コレクションの残りの2冊はいつ出るんでしょうね。

No title

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