『幽霊狩人カーナッキの事件簿』 W・H・ホジスン 創元推理文庫

 『異次元を覗く家』で有名な、20世紀初頭に活躍したイギリスの怪奇小説作家による連作短篇集。怪奇現象の研究家であるカーナッキが依頼のあった様々な怪異の謎を解く。年代的にはポーの発明した推理小説という小説ジャンルがドイルにより大きな発展を遂げた時期に重なっていて、(江戸川乱歩にも「本格」「変格」という言葉があるように)純粋な推理と怪異譚が未分化なころの作品といえる。
 「幽霊の正体見たり枯れ尾花」という言葉もあるが、実は人間に因るトリックだったという話もパラパラと混じっている。従って「純粋な怪奇モノ」を期待して読むと拍子抜けする場合があり、それが好き嫌いの分かれる境目になるかも。
 しかし正体が分かるまでの恐怖は「ホンモノ」だろうがトリックだろうが同じなわけで、自分はどちらも同質の怪異譚として愉しむことが出来た。むしろどの怪異が人為的なトリックなのかは物語のラストにならないと分からないため、「ホンモノ」だった時には面白さが倍増すると言っていいかもしれない。
 特に気に入ったのは「妖魔の通路」「口笛の部屋」「角屋敷の謎」「異次元の豚」の4作品。(説明してしまうと、どれが人間によるトリックでどれがそうでないかばれてしまいそうなので、内容に触れるのはやめておこう。話については題名から想像して頂きたい。/笑)
 『異次元を覗く家』を読んだ時には少し冗漫な感じがしたので、「自分の好みではない」とこれまで手控えていたのだが、本書が思いのほか面白かったので、同じ創元からでている『夜の声』を早速買ってきた。海洋を舞台にした怪異譚を集めた短篇集とのことだが、こちらは果たしてどうかな? 愉しみ愉しみ。
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サラリーマンオヤジです。本から雑誌、はては新聞・電車の広告まで、活字と名がつけば何でも読む活字中毒です。息をするように本を読んで、会話するように文を書きたい。

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