『てりむくり ― 日本建築の曲線』 立岩二郎 中公新書

 松岡正剛の連塾で紹介されていた本。日本固有の建築デザインであり「むくり(=凸)」と「てり(=凹)」の2つの曲線を組み合わせてつくる。銭湯の入り口や神社などの屋根に見られる、アヒルの口のように中央が盛り上がって両側がいったん下がってから端が少し持ち上がる曲線のこと。著者は単に建築手法のことを書きたいのではなく、それを通じて異なる2つの価値を組み合わせるという日本独特の思考方法に想いを馳せる。惜しむらくは、てりむくりに対する強い思い入れによって、強引すぎるアナロジーを駆使するあまりに筆が走り過ぎ、最終章に至ってはついに読者をおいて著者だけがはるかかなたに暴走してしまっている。残された自分は茫然自失(笑)。
 松岡正剛はこの本からもっともおいしいところだけを抜き出して分かりやすく説明しており、正直言って『連塾』や『日本という方法』を読めばこの本自体は読む必要ないかも。もっとも松岡正剛がこれらの本で語っている日本の特長「デュアルスタンダード」や「きそい・あわせ・そろい」などは彼のオリジナルかと思っていたが、この本に(もっとまだるっこしい書き方ではあるが)すでに述べられていたのが意外だった。ただし「パクリ」ということではなく、換骨奪胎してもっと深くした内容をもっと分かりやすく述べられている。様々な素材を縦横無尽に料理する手腕は、まさに編集工学おそるべしといったところか。
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サラリーマンオヤジです。本から雑誌、はては新聞・電車の広告まで、活字と名がつけば何でも読む活字中毒です。息をするように本を読んで、会話するように文を書きたい。

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