2011年1月の読了本

『日本力』 松岡正剛/エバレット・ブラウン PARCO出版
  *日本在住が長い写真家/著述家のエバレット・ブラウンとお馴染み松岡正剛の対談集。
『サイモン・アークの事件簿』 エドワード・D・ホック 創元推理文庫
  *ホックの数多い探偵キャラのうち、「オカルト探偵」が活躍するシリーズの短篇集の
   2作目。題材はオカルトだけど事件そのものはガチガチの合理的解決がなされるのが
   個人的にはちと残念。ちなみにホックの探偵キャラで好きなのは1番が怪盗ニック、
   2番がこのサイモン・アークで3番がサム・ホーソン。
『ヨーロッパ中世の宇宙観』 阿部謹也 講談社学術文庫
  *著者の中世ヨーロッパ歴史学の原点となった初期論文など6つを収めた論考集。
   なお題名にある「宇宙観」は「世界観」という程度の意味。内容は「ハーメルンの笛吹
   き男」の伝承や「当時の一般市民の自伝」における社会制度の研究、被差別民であった
   「刑吏」を巡る社会史など。
『一寸法師』 石田英一郎 アテネ文庫
  *書店でたまたま見かけ、装丁に一目惚れして購入した民俗学系の本。石田英一郎の本は
   これで3冊目。彼の著作は学術書として読むといささか古めかしい感じもするが、書か
   れた時代を考慮した上で読めばそんなに悪くない。どちらかというと好みのタイプかも。
『世界SF大賞傑作選8』 アイザック・アシモフ編 講談社文庫
  *アメリカのファン投票により選出され、年間の最高のSF小説に与えられる賞である
   「ヒューゴ賞」。その賞の受賞作ばかりを集めたアンソロジーの1冊。アイザック・
   アシモフは実際には編集した訳ではなく、受賞作の著者に関して序文を書いてるだけ。
   収録作は以下の4作品。
    ジェイムズ・ティプトリィ・Jr「接続された女」
    ジョージ・R・R・マーティン「ライアへの讃歌」
    ハーラン・エリスン「ランゲルハンス島沖を漂流中」
    ラリー・ニーヴン「ホール・マン」
   ティプトリィとエリスンは文句なく最高。マーティンは相変わらず意地の悪い小説
   ばかり書くなあ(なおこれは彼に関しては褒め言葉)。最後のニーヴンは軽い掌編。
『胎児の世界』 三木成夫 中公新書
  *生物に組み込まれた「生命記憶」と胎児におけるその発現を巡り、著者独特の思索を
   巡らせたユニークな本。
『論語』 岩波文庫
  *言わずと知れた儒教の聖典。思ってたほど敷居は高くなくて、すらすら読めた。
『巨人ポール・バニヤン』 ベン・C・クロウ編 ちくま文庫
  *アメリカに伝わる説話を集めた「アメリカの奇妙な話」シリーズ(全2冊)の第1巻。
   都市伝説やホラ話など色々な種類の説話が収録されて面白いが、残念ながら今は絶版。
『迷宮としての世界(上/下)』 グスタフ・ルネ・ホッケ 岩波文庫
  *もともと美術史上の概念だった「マニエリスム」を拡大解釈して、芸術全般から文学、
   そしてヨーロッパ思想の根幹へと話を広げた長大な論考。
『ボクはこんなことを考えている』 大槻ケンジ 角川文庫
  *ロックバンド筋肉少女帯のボーカリスト・大槻ケンジのエッセイ集。出張帰りの新幹線の
   車中でビール呑んで居眠りしながらでも1冊読み終えてしまう、そんな気軽さがオーケン
   の真骨頂。でも「恋をしらない少女達」の章とか凄いぞ。なんせ自分のようなミュージ
   シャンの追っかけをしている女の子達の心理を冷静に分析してしまうんだから。
   「こんなこと書いてるからファンが減るんだ」とか言いながらも書かずにはいられない
   のは、彼の性(さが)としか言いようがない。自分を突き放して客観的に眺めることが
   できる視点はなかなかどうして、一筋縄ではいかないなあ。なんせ本書のあとがきでも
   本書のことを「野狐禅野郎のエッセイ集」とまで言い切ってしまうんだから。
   -なお野狐禅(やこぜん)とは、悟ってもいないのに勝手に悟ったと勘違いしている人
    のこと。仏教用語。)
『風の王国』 五木寛之 新潮文庫
  *かつて三上寛により「サンカ」という名前で取り上げられた、日本に実在した“流浪の
   民”を巡る伝奇小説。安直に貴種流離譚の設定をもってくるなど、ご都合主義的な点に
   不満が無いでもないが、エンタテイメント小説としてのツボはちゃんと押さえてあり、
   なかなか面白い。『四季・奈津子』のイメージがあまりに強くて、今まで敬遠していた
   が少し見直したぞ、五木寛之。同じく伝奇小説という噂の『戒厳令の夜』も、そのうち
   見つけたら読んでみてもいいな。
『怪奇小説という題名の怪奇小説』 都筑道夫 集英社文庫
  *都筑道夫の作風は情緒よりも論理が勝りがちで、そこが長所でもあるが短所にもなる。
   彼のミステリ作品は“パズラー”として優れたものが多い半面、その「小難しさ」が
   敬遠されるケースも。本書はそんな都筑道夫が書いたゴシック系のホラー小説だが、
   彼の論理的な面がとても優れた効果を挙げている。どろどろした雰囲気だけで話を強引
   に引っ張るタイプのホラーは、(途中で退屈してしまうので)自分はあまり好きでは
   ないのだが、その点で都筑道夫手によるホラーは好い。明晰な論理で語るので「何が書
   いてあるかは良く分かるが意味が全く通じない」という怖さが味わえる。考えてみれば
   「狂った論理(=狂気)」というのが一番怖いものな。同じ筆者の怪奇連作である
   『雪崩連太郎』のシリーズもお薦め。
『ジャージーの悪魔』 ベン・C・クロウ編 ちくま文庫
  *『巨人ポール・バニヤン』に続く「アメリカの奇妙な話」シリーズ(全2巻)の2巻目。
『人間的自由の条件』 竹田青嗣 岩波現代文庫
  *現代の「国家」と「資本主義」の抱える矛盾を、ヘーゲル/マルクス/カントなど先達の
   哲学を再検証することで克服しようとする意欲的かつ画期的な論考。
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サラリーマンオヤジです。本から雑誌、はては新聞・電車の広告まで、活字と名がつけば何でも読む活字中毒です。息をするように本を読んで、会話するように文を書きたい。

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