『20世紀イメージ考古学』 伊藤和治 朝日新聞社

 1900年から1988年までにおける、建築/芸術/写真/ジャーナリズムなど様々なジャンルに関して(*)、その時代を代表するイメージを選び紹介したフォトエッセイ。現代における社会通念や文化の元を辿っていくと、当然のごとく過去のイメージの上に成り立っていることが分かる。したがってタイトルに「イメージ考古学」と銘打って20世紀初頭まで遡っていこうとする本書の取り組みは、まるで現代社会のルーツを捜しているようでとてもスリリングな経験となる。しかしまた、時代を下って現代に近づくにつれて中身に新鮮味がなくなり、どんどんつまらなくなるのも致し方ないといえる。

   *…本書が刊行されたのは1992年。すなわち刊行時点におけるほぼ20世紀全てを網羅。

 本書の説明に倣って自分なりに20世紀のイメージを回顧してみると、だいたい次のような感じか。
 ■第0期:19世紀末~00年ごろ
  旧世界の閉塞感の中から新しい時代の予感
   ――パリ万博(エッフェル塔)、ニコラ・テスラ(電気)
 ■第1期:10~20年ごろ
  世紀末が終わり「科学」と「技術」による新しい時代の幕開け。
   ――ダダとシュールリアリズム、女性ファッション、摩天楼
 ■第2期:30~40年ごろ
  2度の世界大戦による大量死や圧倒的な暴力への直面。「バラ色の未来」の終焉。
   ――芸術の大衆/ファッション化、「流線形」の登場
 ■第3期:50~60年ごろ
  工業化の進展による矛盾拡大と世界各地で継続する戦争、最終戦争の予感。
  旧社会の否定と新しい価値観。
   ――テクノスケープ、原水爆実験、ベトナム、ロック、フラワームーブメント
 ■第4期:70~80年ごろ
   価値観の多様化と従来の社会価値観の相対化(日本=終わりなき成長を謳歌)
   ――民族芸術、バイセクシャル、バブル
 ■第5期:90~2000年ごろ
   社会主義崩壊と民族主義・原理主義の台頭、グローバル化、地球規模の環境問題
   ――インターネット、ECO、テロ、オタク文化・・・そして混沌へ

 こうして一気に20世紀を駆け抜けてみると、人間なんてたいして進歩してないんだというのが良く見えてきて、何だか恥ずかしくなる。しかしその逆に、混迷を極める21世紀の今だって、過去の世界大戦や冷戦の時代に比べれば(楽観はできないにせよ)まだマシところも有る気もして、希望を捨てずに頑張ればまだ何とかなりそうという感じも…。
 いずれにせよ大事なのは、どんなことも過去からの積み重ねの上に成り立つことを忘れず、謙虚な気持ちで今に取り組むことなんだろうね。
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サラリーマンオヤジです。本から雑誌、はては新聞・電車の広告まで、活字と名がつけば何でも読む活字中毒です。息をするように本を読んで、会話するように文を書きたい。

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