古本vs新刊

 一説によれば毎月新しく出版される書籍の種類は、5000点以上にものぼるらしい。自分がひと月に読める本の数がせいぜいがんばっても20冊程度が限界。とすれば毎月読みたい本がより取り見取りで、さぞかし目移りしてしまう程と思われるかもしれない。ところがどっこいそうはいかないのだ。(笑)
 「どんなものでも90%はクズだ」という“スタージョンの法則”が正しいとするなら、読むに値する本はたったの500冊になってしまう。更には小遣いや本の置き場所と相談するわけで、そうそう高額な単行本を買う訳にはいかない。選択肢は自ずと文庫・新書を中心に絞られることになる。
 なので読みたい本はなかなか見つからないのが実情なのだ。どうでもいい小説や実用書などを候補から除いていくと、読んでみたいのはせいぜい月に4、5冊あればいい程度。回転率の悪い本をいつまでも店頭に並べておくような奇特な本屋は、(東京ならいざ知らず)地方都市ではほとんどなく、せいぜいジュンク堂くらい。 畢竟、近所の本屋にはベストセラーや定番のものばかりが並ぶことになる。その結果、不思議なことに新刊書店において、「毎月変わり映えしない本しか置いてない」という逆説が生じてしまう。

 前置きが長くなったが、今回は新刊書店と古本屋の使い分けについて書いてみたい。
 前述のように今の出版業界の情勢をみる限りでは、新刊書店の状況改善は当分望めそうもない。ということで、自分が新刊書店を利用するのは主に以下の4つの場合である。
  1)初めての文庫落ちなど“封切り作”の購入。
  2)新しく興味が湧いた著者の本を系統的に漁る。(古本で安く見つけるまで待てない時)
  3)本を再読したいときに、家のどこかにあるはずだが捜すのが面倒でつい買ってしまう。
  4)出張先などで手持ちの本を読み終わってしまったときの、“非常用の備蓄倉庫”として。
   (購入の優先順位が低い予備本リストから購入)
 当然、読む本が上記の方法で全てあてがえるはずはなく、それ以外の本は違う手段で調達するしかない。そのときに登場するのが古本屋というわけ。

 自分のようにジャンルに関係なく読み漁る人間は、興味の対象もあっちこっち揺れ動いて定まらない。常に面白そうな本との新しい出会いを夢見ているので、変わり映えしない書棚は敬遠したい。そんなときに重宝するのが古本屋なのだ。古本屋の棚には古今東西あらゆるジャンルの本が脈絡なく詰まっている。時間があるときにそんな棚を渉猟して歩くと、思いがけない出会いが訪れることがあり、密かにそれを称して「出会いがしらの正面衝突」と呼んでいる。書名・著者名や書影で何となくピンときたものを手にとって中身をよく吟味し、アタリだったときの喜びといったら何物にも代えがたい。そうしてまた新しい世界が広がっていき、読書傾向はますます収拾がつかなくなっていくのだ。(笑)
 古本屋を利用する目的をあらためて整理すると、以下の3つになる。
  1)初めて見る本との正面衝突
  2)昔の本(絶版・品切れ)の探索
  3)読み返したい本を(均一台で)

 こうしてみると、自分の「活字生活」が如何に新刊書店と古本屋の両方のおかげで成り立っているかということがよくわかる。“予定調和”の安心感と“ビックリ箱”のようなワクワク感、“定価販売”と価値に応じた“バラバラな値付け”、そして“キレイ”な新刊と“味わい”のある古本。うーん、やっぱりどちらもそれなりに捨てがたい魅力があるな。出版不況だの新興の中古本屋の攻勢だの言われて久しいが、新刊/古本、どちらの本屋もずっと残っていて欲しいものだ。微力だけれどこれからも精いっぱい協力させてもらうからね。(笑)

<追記>
 自分にとって、新刊書店と古本屋のちょうど中間に位置するのがAmazonに代表されるネット書店。実物に直接触れて確かめることができない代わりに、買いに行ったけどまだ入荷してなかったという煩わしさがないのはネットならではの利点。また「この本を買った人はこんな本も買ってます」の情報は、初めて手を伸ばしたジャンルを掘り下げるのはとても役に立つ。でもリコメンドは対象の範囲が広がりはするが、結局似たような傾向の本になりがちだし、深く知るほど既読本ばかりが増えて“予定調和”に落ち着いてしまう。その点では古本屋の「正面衝突」に軍配があがる。一度に目に入ってくる情報の量(=見る楽しさ)でも、パソコン画面が本屋の棚に勝てるはずないしね。
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サラリーマンオヤジです。本から雑誌、はては新聞・電車の広告まで、活字と名がつけば何でも読む活字中毒です。息をするように本を読んで、会話するように文を書きたい。

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