『生物から見た世界』 ユクスキュル/クリサート 岩波文庫

 ブログを始めてから色んな人と本の話をする機会が増えて、面白かった本を紹介されることもある。自分ひとりでは読まなかったであろうものに出会えるので興味深い。これも人から紹介された本の一冊。
本のジャンルでいえば行動動物学とか感覚生理学などになるのだろうか。原著は1934年と古いので「エーテル体」などの時代遅れの言葉も頻出するが、古典として読めばさほど苦にはならず、書いてある内容はかなりなもの。
 「客観的な唯一の世界」というものは存在せず、主体(生物)によって生きられている世界(*)はそれぞれ違うというのが著者の主張である。のちのアフォーダンス理論の先駆けともいえそうだ。

   *…それを本書では「環世界」と名付けている。

 視覚/嗅覚/聴覚/触角などを通じて生物に入力される外界からの物理情報により、どのように個々の生物固有の環世界が作られているか?という説明が具体例を挙げて満載である。ヤドカリや犬など色々な生き物の環世界をシミュレーション化したカラー図解もとても愉しい。キリスト教のように「世界中の生き物は人間の役に立てられるため神によって創造された」という価値観を持つ社会からすれば、かなりぶっとんだ主張だったのではないだろうか。全ての生物は人間とは全く違う世界を生きる、独立した存在と言っているようなものだから。今の時代に読んでさほど違和感を覚えないのは、本書の主張が一般常識になっているからか、それとも「森羅万象に神は宿る(=八百万の神)」という日本的な宗教観/世界観によるものなのか?ちょっと気になる。
 まあ、別にどっちでも良いことではあるが。
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サラリーマンオヤジです。本から雑誌、はては新聞・電車の広告まで、活字と名がつけば何でも読む活字中毒です。息をするように本を読んで、会話するように文を書きたい。

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