映画 『陽炎座』
先週に引き続いて鈴木清順監督の<浪漫三部作>から、こんどは『陽炎座』を観てきた。泉鏡花ファンとして見逃せなかった訳だが、いやはやこれは傑作。個人的には世評が高い『ツィゴイネルワイゼン』よりも好きかもしれない。上手いこと鏡花の短篇「春昼」「春昼後刻」「陽炎座」を繋いでオリジナルストーリーに仕立てていた。映像も美しいし、ラスト近く、子ども芝居からの展開と無惨絵のシュールな背景が、不思議と鏡花の怪談の雰囲気をよく再現できていると思う。(ただ「陽炎座」を読んでないと肝心なところが解らないと思うので、青空文庫ででも良いから目を通しておくべきかとは思う。「春昼」「春昼後刻」はストーリーを追う上ではそんなに気にしなくてもいいので。)
ただ物語の流れからすると小説「陽炎座」のラストのままでは映画として終われないので、再び「春昼」「春昼後刻」を持ってきて決着をつけたのは脚本の田中陽造の巧さかも知れない。その意味では「春昼」「春昼後刻」においてあくまでも傍観者だった山崎が当事者とならざるを得なかったのも納得できる。冷酷な伯爵・玉脇に翻弄された二人の女性がやがて物怪に取り込まれて復讐を遂げる物語は、山崎がいることで最後に救いへと変わるのだ。(彼にとってそれが“救い”だったのかはさておき。)
あと原田芳雄がとても好かった。『ツィゴイネルワイゼン』で主役をはった原田芳雄は本作では、「アナ・ボル」(アナーキズム/ボルシェビズム主義者)となって前作で麿赤兒がやったのと同じような狂言廻し役を演じる。これがまた出てきた瞬間に、熱演だがどこか優等生っぽさが抜けない松田優作の演技を食ってしまうほどの存在感があって素晴らしかった。
ただ物語の流れからすると小説「陽炎座」のラストのままでは映画として終われないので、再び「春昼」「春昼後刻」を持ってきて決着をつけたのは脚本の田中陽造の巧さかも知れない。その意味では「春昼」「春昼後刻」においてあくまでも傍観者だった山崎が当事者とならざるを得なかったのも納得できる。冷酷な伯爵・玉脇に翻弄された二人の女性がやがて物怪に取り込まれて復讐を遂げる物語は、山崎がいることで最後に救いへと変わるのだ。(彼にとってそれが“救い”だったのかはさておき。)
あと原田芳雄がとても好かった。『ツィゴイネルワイゼン』で主役をはった原田芳雄は本作では、「アナ・ボル」(アナーキズム/ボルシェビズム主義者)となって前作で麿赤兒がやったのと同じような狂言廻し役を演じる。これがまた出てきた瞬間に、熱演だがどこか優等生っぽさが抜けない松田優作の演技を食ってしまうほどの存在感があって素晴らしかった。
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